身近な資産運用

「資産運用」という言葉をよく耳にすると思いますが、「あれは投資家やお金持ちなどのプロがやるもので自分とは関係ない」と思ってスルーしている人が多いのではないでしょうか。
しかし、近年では政府の後押しもあって「iDeCo」や「NISA」といった小額からできる資産運用の制度など、必ずしも投資家や資産家だけのものではなくなっており、プチ投資家やサラリーマン投資家も増えてきています。
ここでは、「資産を運用する」ということについて、運用の種類や方法などそのリスクも含めて知って頂いて、自分に合った資産運用を見つけてみてください。

  1. ライフプランと資産運用
  2. 資産運用と投資の違い
  3. 投資の種類
  4. そのた 

ライフプランと資産運用

ライフ・プランニングとは、将来に渡りどれだけの収入が見込めるのか、どれだけの支出が必要となるのかをイメージして、そこに夢の実現という目標設定に向けたレールを敷いていく作業です。

コロナの影響を受けた原材料費の高騰に伴い、モノの価格や付随するサービス料などの値上げによる支出増が家計を圧迫する一方で、日本人の平均年収はこの30年間、400万円台で推移したまま変化をしていません(*1)
しかしコロナ過は、リモートワークという新しい働き方を一般化させ、人々の生活スタイルに変化をもたらしました。
収入と支出のバランスを元に戻すためには、収入を上げるか支出を抑えるかしかありませんが、どんなに支出を切り詰めても限界があるため、リモートワークや働き方改革によって得た余剰の時間を使って副業で収入を補完するという考え方も、今後のライフワークに加えても良いのではないでしょうか。

ひとことに副業と言っても、休日や帰宅後の空いた時間を使ってアルバイトをしたり、パソコンを使って在宅で入力作業の補助業務をしたり、あるいは新たなスキルを身に着けて開業をしたりなど、さまざまな方法が思い浮かびます。

実際、当社にも「減給されたので、増えた余暇の時間を使った副収入を考えたい」と相談に来られる方も増えてきており、そのような方には遊休資産の運用や少額投資などの運用をお勧めしています。
資産運用や投資と言うと身構えてしまう方も多いとは思いますが、一昔前の〇〇ファンドといった大げさなものではなく、1万円から始められる資産運用もあり、小遣いの範囲で始められる資産の運用も増えてきました。

ここでは資産運用について、少し細かくお話をしたいと思います。

「資産運用」と「投資」の違い

「資産運用」とは、いま自分で持っているお金(資産)を「預貯金」や「投資」に配分(運用)することで効率的に増やしていくことを言います。
「預貯金」は、いまあるお金を将来に向けて蓄えることを目的に配分することで、「投資」は、保有するお金や不動産(資産)を増やすことを目的に配分することを指します。
つまり「投資」とは「資産運用」の一つということになります。

また、投資で求められる収益には、多くく分けて「インカムゲイン」とキャピタルゲイン」があり、どちらの収益を求めるかによって投資の仕方が変わってきますので、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

インカムゲインとは

預貯金や不動産などの資産を保有することで得られる収益のことを「インカムゲイン」と言います。
たとえば投資信託であれば分配金、株式であれば配当金、債権なら利子がこれに該当します。これらのインカムゲインは支払われる時期が決まっており、資産を保有している間は収益を得ることができる仕組みです。
ただし、分配金や配当金は、業績や運用実績によって金額が変動し、支払われないことが有ったり、投資した金額を割り込んでしまう「元本割れ」を起こす可能性もありますので注意が必要です。

キャピタルゲインとは

保有する資産の売却によって得られる収益がキャピタルゲインです。
投資信託や株式、不動産、仮想通貨などの保有資産を、購入した時の金額と売却した時の金額との差額によって得られた売買差益がキャピタルゲインとなります。
たとえば、100万円で購入した株式を110万円で売却して得られた差額10万円(手数料・税金を除きます)がキャピタルゲインです。
基本的に売り買いができるもであれば良いので、金やプラチナなどの貴金属でも得られる可能性がありますが、その時の経済状況や流行によって売却した時の金額が購入金額を下回ることもあり、売買差損として損失を出す場合(キャピタルロス)もあります。

キャピタルゲインは、インカムゲインに比べて収益が大きくなる可能性があり、たとえば上記の株式で見た場合、キャピタルゲインであれば配当金は一般的に株価の数パーセント(数万円)程度ですが、売却した場合は120万円や150万円など企業の業績によっては購入時を大きく上回る可能性があるからです。
ただし、業績が悪化していたり最悪の場合には倒産をしていれば、ただの紙切れとなる危険もありますので注意が必要です。

投資の種類

一口に投資と言っても多種多様で、取り扱う機関もさまざまありますが、代表的なものは以下の通りです。

投資信託

資産運用を専門とする信託会社が、投資家から集めた資産を大規模に運用し、得た利益を還元させる方式の投資です。
信託会社は目標とするリターンやリスクを勘案して投資先を組換え、分散して運用をします。
不動産に投資する信託のことを「REIT(リート)」と言い、投資家から集めた資金を基にファンドマネージャーが複数の不動産に投資を行い、そこから得られた家賃収入や不動産の売買差益を投資家に配当します。
沢山の投資家で資金を出し合う仕組みのため、小額からの投資が可能です。

国債

国が資金調達のために発行する債券のことを国債と呼びます。
あらかじめ返済する期間(償還日)や金額(償還金額)、利子などが決められた国債を購入すれば、定期的に利子が支払われ、満期(償還日)になれば投資した元本が返却される仕組みです。
日本国が発行する日本国債の他にも、各国政府が発行する外国債券もあります。

株式投資

企業が資金調達のために発行する株式を売買し、差額や配当金で利益を得る方式の投資です。株価は、企業の業績や景気の状況、投資家の売買取扱量によって日々変動しており、大きなキャピタルゲインを得たり、配当や株主優待などのインカムゲインも期待ができます。株式の現物取引では投資した株価以上の損はしないため、余裕資金での購入や、小額の投資に抑えることによってリスクを低減させることが可能です。

暗号資産(仮想通貨)

インターネット上でやり取りされる通貨で、公的な発行主体や管理者が存在しないため「仮想通貨」と呼ばれていましたが、2020年5月1日に改正資金決済法と改正金融商品取引法の施行によって「暗号資産」という呼称になりました。
暗号資産は、短期間で価値が何倍にもなることがある一方で、需要の増減や市場の変動によって価格が大きく下落するリスクも高く、さらに取引所の廃止やハッキングなどによって取引ができず、投資した金額を引き出せなくなる可能性もあるため、あまりお勧めできません。

金(きん)

信用度が高く世界中のどこでも換金ができる「金(きん)」を対象とした投資方法で、取引はドルで行われています。
埋蔵量に限りがあるため、需要が増えて価値が上がることはあっても、価値がなくなることは考えにくいため、安全資産として「有事の金」と呼ばれることもあります。
金貨やインゴットなどの現物を購入する方法や純金を定期的に少しずつ購入し積み増していく方法、ファンドマネージャーに信託する方法などがあります。

不動産投資

不動産投資とは、購入したマンションや建築したアパートなどの不動産を人に貸して家賃収入を得たり、その不動産を売却して差額の利益を得る投資方法です。
銀行からの融資を受ければ少額で不動産を購入できるので、少ない自己資金で大きな利益を得る(これをレバレッジ効果と言います)ことができるのも不動産投資の特徴です。
近年では運用会社が銀行と組んで会社員に融資を実行し、サブリース契約(管理会社が家賃保証を条件にオーナーから不動産を一括して借り上げて不動産を運用を行う契約)で自己破産へと追い込んだ「かぼちゃの馬車」事件は記憶に新しいですが、サブリース契約自体は決して悪い仕組みではなく、それを維持するために不正な行為が行われていたことが問題でした。
投資をする以上は、人任せにせず自ら管理できる範囲で行うことが望ましいですね。